新車転売(即出し)は儲かる?ディーラーにバレたらどうなるのか?

新車転売

こんにちは、フクロウ教授です。
私は中古車買取店を運営していますが、かつてはディーラー営業マンとして自動車販売の現場に携わっていました。
ディーラー目線と買取店目線の両方から、中古車相場や業界の裏話をわかりやすく解説していきます。

今回のテーマは「新車転売(即出し)」。 一見お得に見えるこの売却方法ですが、ディーラーにとっては頭の痛い問題でもあります。

この記事では、 新車即出しの仕組みとリスク、そして売却時の最適な方法 を解説します。


この記事でわかること

  • 新車即出しとは? 仕組みと実際の事例
  • ディーラー目線の本音 即出しが嫌がられる理由
  • 発覚した場合どうなるのか? ブラックリストやペナルティの実態
  • 買取店とオークション代行の違い どちらに出すのが得か?
  • 相場の動きに応じた売却方法 発売直後と相場安定後の使い分け

「即出しって本当に儲かるの?」「ディーラーにバレたらどうなる?」といった疑問を解消できる内容になっています。


目次

新車即出しとは

「新車即出し」とは、新車を購入して納車直後に買取店などへ売却し、その車両が業者オークションへ出品されることを指します。

なぜこのようなことをするのかというと、新車購入価格以上で売却できる可能性があるからです。

例えば2023年に登場した40系アルファード/ヴェルファイアは、本体価格600万円前後に対して、オークションで1,000万円以上の取引がありました。
つまり、購入してすぐ売るだけで400万円以上の利益が出るケースがあったのです。


なぜ新車より高くなるのか?

新車より中古車が高額で取引される「逆転現象」には、主に3つの理由があります。

1. 新車の納期が長い

  • コロナ以降の半導体不足や物流の混乱で、新車は納期が1年以上になるケースも。
  • 「すぐに車が必要」というユーザーは、新車より高くても中古を選ばざるを得ません。

2. 円安で海外需要が急増

  • 円安の影響で、日本車は海外から見ると割安。
  • その結果、海外バイヤーが積極的に買い付け、中古車相場を押し上げています。

3. 輸出需要の大きさ

  • 特に海外需要が国内需要を上回るほど強い。
  • 日本の車は高品質・高信頼で、多少高くても売れるため、オークション会場では外国人バイヤーが次々と入札。
  • 国内販売店が「高すぎて仕入れられない」と悲鳴を上げる状況が起きています。

つまり、新車を正規で購入できるユーザーは、それだけで即出しによる利益を狙える構造になっているのです。

現在、新車即出しで新車価格以上になる代表車種5選

車種解説
トヨタ アルファード(40系)新型登場直後から新車価格を大きく上回るプレミア相場に。国内外で高い需要。
トヨタ ランドクルーザー300世界的な人気SUV。輸出需要が旺盛で、新車即出しの代表格。
ホンダ ヴェゼルスリランカ需要が高く、即出しで高値がつきやすい車種。
トヨタ ランドクルーザー250プラドの後継モデルとして登場。海外需要も高くプレミア化しやすい。
スズキ ジムニーノマド(5ドア)発売直後から人気が集中。受注停止と長納期化により需要が強い。

ディーラーでの誓約書と販売の仕組み

転売対策として、ディーラーでは「1年以内に売却しない」という誓約書にサインさせるのが一般的です。

なぜなら、ディーラーは車を売って終わりではなく、

  • メンテナンス
  • 自動車保険
  • ローン
  • 将来の下取り

などで顧客を囲い込み、長期的に利益を上げるビジネスモデルだからです。

そのため 「メンテナンスパックも入らない、ローンもしない、すぐ売ってしまう」顧客はディーラーからするとマイナス になります。

ディーラーにとっては、長くお金を落としてくれる顧客こそ大切。 即出しユーザーは営業マンの評価を下げることもあります。


元ディーラー営業マンとしての体験談

私自身ディーラー営業マンをしていた経験がありますが、即出しは現場に大きな負担を与えます。

  • 転売の疑いがある顧客は 上司に報告 → 近隣店舗へ情報共有
  • 納車直後に輸出抹消されると、本部から上司へ連絡が入り営業マンが詰められる
  • ペナルティとして 販売実績がマイナス になるケースがある
  • 顧客への訪問や事情聴取を繰り返さなければならない

実は私にも経験が…
納車直後の車両が輸出されて、販売実績がマイナス1にされたことがあり、上司に詰められました。
正直「なんでこっちが責められるんだ!」という気持ちでいっぱいでした。


現在、ディーラーによっては 「販売した車が1年経たずにオークションへ出品されると、販売店舗の店長宛に連絡が入る」仕組みになっています。  つまり、オークションに出ればすぐに発覚するため、即出しが黙って通ることはほぼありません。

即出しが発覚するとどうなる?

  • 購入ディーラー会社(全店舗)では ブラックリスト入り
  • 「メーカー系ディーラー」と「地場ディーラー」は別会社 → 他系列なら購入できてしまう
  • 複数のディーラーを渡り歩いて繰り返すユーザーも存在

発覚後の流れ(イメージ)

発覚した場合の流れ影響
ディーラー本部から販売店舗へ連絡営業マン・店舗にマイナス評価
顧客へ連絡(訪問含む)応答しないケースが多い
ブラックリスト入り次回購入不可の可能性
他系列ディーラーへ購入できる場合もある

法的リスクやメーカーの事情

誓約書を破ったからといって、損害賠償になることはほぼないです。
ただし、外為法(外国為替及び外国貿易法) に関わるリスクがあります。

特にランドクルーザーのように、海外の紛争地帯で使われることがある車種では、メーカーが敏感。
正規販売でない転売ルートを潰すのはメーカーの責務でもあるのです。


実際にトヨタはランドクルーザー300で「転売・輸出を目的としない」という誓約書を導入しています。
その背景には、外為法リスクや輸出規制への対応があるとされています(MAG-Xの記事はこちら)。

中古車業者と即出しスキーム

最近では中古車業者自身が新車を購入できなくなってきています。
理由は、即出しでオークションに流れるのを防ぐため。

しかし実際には、

  • 業者が知人や家族にお願いして購入してもらう
  • 納車後に車を業者へ引渡してオークション出品
  • 売却後、利益をユーザーと分け合う

というスキームが存在します。

業者と手を組んで副業化している人も多いですが、税務申告をしていないと脱税リスクがあるので注意が必要!


損するケースとリスク要因

新車即出しは必ずしも利益が出るわけではありません。
相場に大きな影響を与える要因はいくつかあります。


新車即出しは、相場次第で損失を抱えるリスクもあります。主な要因を整理すると次の通りです。

リスク要因内容相場への影響
為替の変動円高になると海外バイヤーから見て日本車が割高に輸出需要が減少し、即出し車両の相場が下落
輸出先の規制・関税突然の輸入規制や追加関税の導入輸出需要が一気に冷え込み、国内相場も下落
スリランカの例経済危機や外貨不足により輸入停止措置を繰り返す即出し車両の相場が急落し、損失につながる

結論:新車即出しは儲かるのか?

  • 短期的には、人気車種や輸出需要の強い車なら大きな利益になる可能性がある
  • 一方で、為替や輸出規制など外部要因により、急激に相場が崩れて損をするリスクも大きい

つまり、新車即出しは「儲かる場合もあるが、ハイリスク・ハイリターン」な方法です。

新車即出しをしたいユーザーは、どこに売るべきか?

まず知っておくべきなのは、買取店に売却しても最終的にはオークションへ流れるケースがほとんどだということです。
つまり、どこに売ってもオークションに出品されればディーラー側に伝わり、結局は「バレる」構造になっています。


では、それを承知のうえで「できるだけ高く売る」にはどうすればよいのでしょうか?
ポイントはタイミングにあります。

タイミング売却方法理由
発売直後(相場不安定)オークション代行プレミア価格になる可能性が高い
発売から一定期間後(相場安定)一括査定複数買取店の競り合いで高額になりやすい
  • 発売直後は「いくらで売れるかわからない」ため、オークション代行で相場をダイレクトに反映させるのが有利。
  • 相場が落ち着いた後は、一括査定で複数の買取店を競わせる方が効率的。

オークション代行とは?

「オークション代行」とは、ユーザー自身が業者オークションに参加できないため、
中古車業者に依頼して代わりに出品してもらう仕組みです。

  • 出品手数料や代行手数料が必要
  • ただし、一般的な買取店よりも高値で売れるケースがある
  • 発売直後の「どこまで値段が跳ね上がるか分からない時期」には、  オークション代行の方が高値がつきやすい。

結局「バレる」のは避けられませんが、
どうせ売るならタイミングを見極めて、一番得する方法を選ぶのが肝心です!

まとめ

  • 新車即出しは 短期的には大きな利益 が出る可能性がある
  • ディーラーや営業マンにとっては 大きな迷惑・ペナルティ となる
  • 発覚すると ブラックリスト化 され、将来の購入に影響する
  • 外為法などによって 購入者や販売店に責任が及ぶリスク もある
  • 為替変動や輸入規制によって 相場が急落し損をするケース も多い
  • 売却するなら、状況に応じてオークション代行や一括査定を使い分けるのがポイント

新車即出しはリスクもありますが、
中古車相場の動きを理解するうえで、参考になる事例になります
売却するなら正しい方法を選び、リスクを理解して行動することが大切です!

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